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女は笑顔で殴りあう―マウンティング女子の実態 [著]瀧波ユカリ・犬山紙子

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)

[掲載]2014年03月23日

[ジャンル]人文

表紙画像

■女同士で共生するための作法

 カフェやレストランの女子会で、あるいは学校や職場で談笑する女たち。だが笑顔の下では、血みどろの戦争が繰り広げられている……。相手より下に見られたくない、という心理は男女問わず持っている。だが、とかく女同士は複雑だ。「善意」でコーティングされた言葉や態度で、決して自分は悪者になることなく相手を貶(おとし)め、自らの優位性を確保する。本書はこれを「マウンティング」と呼ぶ。本来、動物が自分の優位性を示すための行為だが、これを女同士の共生の作法に見出(みい)だしたのは絶妙な比喩だ。
 身につまされるシチュエーションの数々に、爆笑しつつ一抹の寂寥感(せきりょうかん)も感じた。私たちは、なぜこんなさもしい行為をせねばならないのだろう。男性ならば、社会的地位や所得など客観的な指標で勝負できる資源が、女性には乏しいというのも一因か。笑顔で殴りあうがごときこの女の性(さが)。殺し合いを避けるための「知恵」であり、「知恵者ゆえの悲劇」との達観に感服。
    ◇
 筑摩書房・1260円

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