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カクレキリシタンの実像―日本人のキリスト教理解と受容 [著]宮崎賢太郎

[評者]川端裕人(作家)

[掲載]2014年03月23日

[ジャンル]歴史 人文

表紙画像

■弾圧に耐え、守り抜いたのは

 「隠れキリシタン」と聞くと、弾圧に耐え信仰を守ってきたキリスト教徒を想起する。しかし、聖書もなく宣教師もおらず、何代もの間、教義は正しく伝承されたのだろうか。筆者は、彼らが「何か大切なものを命がけで守り通した」ことを認めつつ、それが本当にキリシタン信仰であったかと問う。実際、有名な口承のオラショ(キリスト教の祈祷〈きとう〉)は、唱える側も意味が分からないものに変貌(へんぼう)していた。
 「カクレキリシタン」とカタカナにするのは、「隠れているキリスト教者」ではなく祖先信仰など日本の民俗と混合したものだとの立場から。フィールドワークでは、様々な従来の神々の中に「カクレ」の神も併存する様子が描かれる。既成概念を覆すことに重きをおいた筆さばきだが、描かれる共同体にはやはり特別な雰囲気がある。
 今、消滅しつつあるという「カクレ」を、何百年も守り抜いた力とは何か、改めて考えさせられた。
    ◇
 吉川弘文館・2415円

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