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数学 想像力の科学 [著]瀬山士郎

[評者]赤坂真理(作家)

[掲載]2014年03月30日

[ジャンル]教育

表紙画像

■いちばん正確に伝わる外国語

 数学の教科書が、この本であればいい! 回り道で理解が深まるからではない。こっちが数学の本質だから。
 始まりからしびれる。「数とは想像力の産物だ」。数をものに対応させることはできるが、数そのものは実在しない。「虚数(イマジナリーナンバー)」という不思議な概念があるが、すべての数は、想像力が生んだもの(イマジナリー)なのである。
 想像力の科学。想像力の言語と言ってもいい。じっさい数学は、世界中でいちばん境界がなく、いちばん正確に伝わる、外国語かもしれない。
 想像力は、人に自由をくれる。たとえば、この世界では体験できない4次元、5次元……n次元までを、数学は想像し、記述できる。ないものをありありと思い浮かべる力。直観力のジャンプ。その世界に触れる前に公式を教わることの、なんて味気ない損失だろう!
 数学ができる人も私のようにからきしの人も、この本を楽しめる。だって想像力こそ、人間を人間たらしめているのだから!
    ◇
 岩波科学ライブラリー・1260円

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