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人間と動物の病気を一緒にみる—医療を変える汎動物学の発想 [著]バーバラ・N・ホロウィッツ キャスリン・バウアーズ

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)

[掲載]2014年03月30日

[ジャンル]科学・生物

表紙画像

■疾病の治療・予防に新たな展開

 がんや心臓病、性感染症、自傷行為や摂食障害など、人間だけが罹(かか)ると思いがちの、病気、実は多くの動物も罹患(りかん)したり、よく似た症状を見せるという。乳がんに罹るジャガー、捕獲の恐怖から心臓発作で死ぬヘラジカ。自分の羽根を抜き続けるインコ。
 症例の比較結果を読んでいくと、驚くほど動物と人間の病気は共通している。心臓専門医とジャーナリストによる本書は、人間独自の生活習慣などに根差すと思われてきた病気も、実は種を越え進化過程で組み込まれた何かが関与している可能性を示唆する。
 皮肉なことに、医学は20世紀以降、ヒトと動物とを厳密に分けてから急速に発展したため、両者の疾患をまとめて考慮する視点に欠けていたという。
 「汎動物学(ズービキティ)」と名づけられたこの新しい学問が、さまざまな疾病の治療や予防に新しい展開を与えるだけでなく、患者や家族が陥りがちな「因果探し」にも、別の視点を提示してくれることに期待する。
    ◇
 土屋晶子訳、インターシフト・2415円

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