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「死」を前に書く、ということ 「生」の日ばかり [著]秋山駿

[評者]

[掲載]2014年04月13日

[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

表紙画像


 昨年10月に亡くなった文芸評論家の著者が、その3月まで文芸誌に連載していたエッセー。「書く」ことを思索と生の駆動装置としてきた著者は、「物語り的なものをなるべく拒否」してきたのに、「伝説やお化けが、近しくなった」と面白がる。ベランダに転がっているセミを見て、「死の実験」と思いつく。時に数十年前の日記の中の自分と対話し、頭を去らない中原中也の詩の一節をはんすうしながら、「私」とは何か、そのように考える私とは何かを巡って思索し、書く。散歩に出かける近所の公園、書き物をする机の前の窓から見るいつもの風物が哲学、文学とつながっていき、生の「日ばかり(日時計)」を明晰(めいせき)な文章で刻む。
    ◇
 (講談社・2160円)


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