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図説 人体イメージの変遷 西洋と日本 古代ギリシャから現代まで [著]坂井建雄

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)

[掲載]2014年04月20日

[ジャンル]科学・生物 ノンフィクション・評伝

表紙画像

■自らの内側をどう描いてきたか

 人はみずからの〈内側〉を、どのように描いてきたのか? 著者が収集した古今東西大量の人体解剖図の特徴を、編年的に総覧したのがこの本だ。百数十点の図版を眺めているだけでも、描き手が何を考えながら人体図を描いていたのか、精細で壮観な図に込めた彼らの思いが気になってくる。
 前半ではヴェサリウスやレオナルド・ダ・ヴィンチ、ビドローなど、ヨーロッパの素材を中心に、CTを使った現代までの解剖図/写真が集められており、技術の進歩とともに図版が精密になっていく様がよくわかる。一方でそれは〈人体〉が喪失されていく過程でもあるようだ。
 最後の第4部は日本の解剖図について。西洋と比べると解剖場面を描かないとか、遺体を遺族に返却するとか、いろいろな違いが指摘されていて興味深い。
 淡々と素材が並べられているという趣の本なので、読者が人体や死についてのイメージを描く材料として役立つだろう。
    ◇
 岩波現代全書・2268円



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