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図説 朝食の歴史 [著]アンドリュー・ドルビー

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)

[掲載]2014年04月27日

[ジャンル]歴史

表紙画像

■思いがけない経験のために

 朝食は、ありふれた日常だけではない。旅先の驚きもあれば、別れの涙の味もある。そして、ときに色っぽい。
 時代や地域、家庭によって大きく異なる朝食だが、個人レベルでは毎日同じものを食べる傾向があるそうだ。本書では、こうした事実を紹介しながらも、こだわりは「朝食は思いがけない経験をするためにある」。
 商談を兼ねた朝食は、対象から外すと宣言。ジョイスの『ユリシーズ』やカフカの『変身』、ロレンスの『チャタレイ夫人の恋人』——。古代ギリシャから現代まで、文学作品に描かれる場面をちりばめて、愉快に語る。
 モネやロートレックの油絵、ケロッグのポスター、インドネシアのナシ・ゴレンの写真など、目にも楽しい。
 著者は、食物史に詳しいイギリスの言語学・歴史学者。日本については、旅館の献立の写真、みそ汁、納豆にも触れている。英米中心なので、日本文学に登場する朝食も読みたくなった。
    ◇
 大山晶訳、原書房・3024円

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