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迫りくる「息子介護」の時代 28人の現場から [著]平山亮

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)

[掲載]2014年05月04日

[ジャンル]社会

表紙画像

■超高齢社会が変える介護の常識

 この国で進行中の超高齢社会は、確実にこれまでの介護の常識を変えるだろう。本書は、主要な介護の担い手とは考えられてこなかった、働き盛りの男性による老親介護に光を当てた。現在、同居の主介護者が「息子」の割合は12%。過去30年で6倍の増加という。昨今は既婚男性であっても、妻も実の親の介護に手一杯などの理由から、自身が介護を担う場合が増えている。
 社会心理学が専門の筆者は、介護する息子たちの聞き取り調査を軸に、彼らの心理状態や、家族・地域・職場などの人間関係を省察。今まで「ブラックホール」であった息子介護の実態や、複雑な男心が浮き彫りになっていく。まだまだ少数派である彼らと、職場の男性たちとの温度差は胸が痛い。介護専従のための制度よりも、介護しながら今まで通り仕事ができる制度を、との声も切実だ。生涯未婚率急上昇中の昨今、今後も増加の見込まれる「息子介護」という現実を見据えるため、ぜひご参照されたい。
    ◇
 光文社新書・950円

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