おじさんの哲学 [著]永江朗

[評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家)  [掲載]2014年05月11日   [ジャンル]文芸 

■肩の力を抜いた言葉に説得力

 本書でいうおじさんはいわゆるオッサンではなく、父母の兄弟のおじさんのこと。おじさんは父親とちがって自由な風を運んでくれる存在だと誰かから聞いたことがあるが、本書は様々な著述家の言動や考え方を紹介し、そこからおじさん的なものを読み取る作家論、おじさん論である。
 常識にとらわれず、本流からも外れ、本業が何かすらよく分からないくせに、その言葉に妙な説得力があるのがおじさんの魅力。でもおじさんだって自分の家では常識的なお父さんとして振る舞っているはずだから、たぶん他人の家に来て、少しいい加減になっているぐらいが人間ちょうどいいのかもしれない。
 本書で紹介された著述家たちはどこか肩の力が抜けていて、声高に正論を述べることに野暮ったさを感じている雰囲気があり、そこがおじさんっぽい。そう、つまりこれはかっこいい男論でもあるのだ。読んでいてこんな大人になりたいと思う、おじさんっぽい本である。
    ◇
 原書房・1944円

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