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亡国の安保政策―安倍政権と「積極的平和主義」の罠 [著]柳澤協二

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)

[掲載]2014年05月25日

[ジャンル]政治

表紙画像

■介入を正当化する集団的自衛権

 安倍政権が進める憲法の解釈変更。その問題点はどこにあるのか。元防衛官僚で、第1次安倍政権では官邸の中枢にいた著者が、専門的な安全保障論の観点から徹底的に批判を加える。
 国連PKO活動参加、9・11後の「テロ対策」、イラク戦争への対応などの政治の要請に対し、著者や内閣法制局は個別的自衛権の枠内で何とか考え続けた。それは不要な枠に縛られた、不毛な努力だったのか。そうではない。
 日本が個別的自衛権に自己限定することは、冷戦終結後の今、「戦争に巻き込まれないという消極的な意味」をもつだけではない。集団的自衛権は、実際には自衛を超え、大国の恣意(しい)的な介入を正当化し続けてきた危険な概念だからである。
 安倍首相らの前のめりの姿勢は、安全保障上の要請でなく、「敗戦の歴史のリセット」への執念から来るとする著者の洞察は鋭い。今後の国民的議論のために、必読の一冊である。
    ◇
 岩波書店・1512円

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