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日本人は、どんな肉を喰ってきたのか? [著]田中康弘

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)

[掲載]2014年06月01日

[ジャンル]社会

表紙画像

■多様な狩猟、共に食べて考える

 長年秋田県のマタギの取材をしてきた写真家が、南は西表島から北は礼文島まで、各地に息づく狩猟を取材し、獲(と)れた獣肉を猟師と共に喰(く)う。
 狩猟と一口に言っても、地域の気候や地形、餌となる野生動植物や農作物で、その方法は実にさまざま。
 理屈ではわかっていたし、イノシシ・シカの狩猟取材経験もあったが、第一章の西表島のカマイ(イノシシ)猟から仰天。小舟に獲物を乗せてマングローブ林を進む写真に釘付けとなった。罠(わな)の形もかけ方も肉の調理法も、まるで違う。日本は広い。
 ハクビシンやトドにアナグマと、比較的珍しい野生獣の美味を紹介しているのも面白いが、全国で農作物被害が深刻化し、「猟」が「駆除」になりつつある問題点にも言及。今後各自治体を超えた取り組みも必要と思わされた。
 地域の結束材料の一つでもあった狩猟と共食(きょうしょく)。各地の多様さを知ることは、これからの野生獣との付き合い方を考えるヒントにもなるだろう。
    ◇
 えい出版社・1620円


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