柚木麻子「本屋さんのダイアナ」書評 少女たちの「解呪」
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2014年06月22日
本屋さんのダイアナ
著者:柚木 麻子
出版社:新潮社
ジャンル:小説・文学
ISBN: 9784103355311
発売⽇: 2014/04/22
サイズ: 20cm/250p
本屋さんのダイアナ [著]柚木麻子
「大穴」と書いてダイアナ。この名前のせいでいつも肩身の狭い思いでいるダイアナは、母と二人暮らしで本が大好き。優等生の彩子はどこか孤独なダイアナにひかれ、二人は無二の親友になる。しかし、中学生になる前にささいなことがきっかけで深い溝ができる。中、高と別の道を歩むが、ダイアナの父親捜しを軸に、離れていた道が再び交差して……。人は、周囲の押しつけや思い込みに縛られ、自分を解き放つことがなかなかできないもの。少女たちは、自分にかかっているそんな“呪い”を自分自身で解いていく。静かだがドラマチックな展開に心奪われる。『赤毛のアン』ほか物語に登場する少女小説も魅力的で、もう一度読みたくなる。
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(新潮社・1404円)