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性を超えるダンサー ディディ・ニニ・トウォ [著]福岡まどか [写真]古屋均

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)

[掲載]2014年06月22日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

■迫害の歴史とジャンルも超え

 ガムランや影絵芝居など、インドネシアの伝統芸能は日本でもよく知られている。しかし現代のパフォーマーの活躍となるとどうだろう。
 DVD付きの本書はディディ・ニニ・トウォという極めて稀有(けう)な才能を持つ女形のダンサーの軌跡と全容を伝える。
 ジャワ島出身の五十九歳。拠点はジョグジャカルタ。華人の父とジャワ人の母を持つ。かつてジャワ島にあった女形の伝統を復活させようと、島をまたいで複数の女性舞踊家に教えを受け、さらに能楽や中国舞踊、西洋の要素も取り入れ、独自の舞踊を作り上げる。厳しい身体鍛錬が必要な芸術性の高い踊りで世界から評価される一方、トランスジェンダーを笑いにするコメディーでインドネシア中の人々を笑わせる。
 インタビューでは、イスラム色の強い国で女形であることよりも、華人系として受けた迫害に強くストレスを感じてきた様子が胸を打つ。現代インドネシアを知るための書としても大変面白く読めた。
     ◇
 めこん・4320円


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