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ビゴーを読む―明治レアリスム版画200点の世界 [編著]清水勲

[評者]

[掲載]2014年06月29日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

 浮世絵に魅せられて1882(明治15)年に来日したフランス人画家ビゴー。17年間に及んだ滞在中に残した石版画・銅版画を網羅する。
 一服する農民、半裸で化粧する若い娘から、男盛りの三遊亭円朝に釘付けの聴衆まで。刻まれたのは、報道写真さながらの庶民の日常だ。まだちょんまげと洋髪が混在する時代のこと、威圧感のあるカメラなど向ければ、かえってその飾らない表情は逃していたかもしれない。
 2人がかりで早桶(はやおけ)を担ぐ弔いの様子や、遊郭の花魁(おいらん)の気高い表情など、落語を通しておぼろげに想像していた遠い風景も、シャッターのような画家の目を経由してリアルに迫ってくる。
    ◇ 
 (臨川書店・4860円)



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