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大澤真幸・成田龍一「現代思想の時代」書評 社会学と歴史学の距離感の違い

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2014年07月13日
現代思想の時代 〈歴史の読み方〉を問う 著者:大澤 真幸 出版社:青土社 ジャンル:哲学・思想・宗教・心理

ISBN: 9784791767908
発売⽇: 2014/06/24
サイズ: 20cm/242p

現代思想の時代——〈歴史の読み方〉を問う [著]大澤真幸・成田龍一

 昨年創刊40年を迎えた雑誌「現代思想」の歩みは日本の(一般名詞としての)「現代思想」とどう絡み合っているのか。社会学者と歴史学者が語り合った。創刊当時はマルクス主義を中核とする「戦後思想」の影響が色濃く残っていた時期だった。1980年代になると、ドゥルーズ、デリダ、ソシュールなど、いかにも「現代思想」らしい誌面になる。90年代後半以降になると、カルチュラル・スタディーズの影響が色濃くなり、「ストリート・カルチャー」「レズビアン/ゲイスタディーズ」などの特集が並ぶ。「近代」に対する社会学と歴史学の距離感の違いや、最近は西洋の思想家をまったく参照しない思想書が出ている、という大澤の指摘が興味深い。
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 (青土社・2376円)