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犬と人の生物学―夢・うつ病・音楽・超能力 [著]スタンレー・コレン

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)

[掲載]2014年07月27日

[ジャンル]科学・生物

表紙画像

■知られざる犬の生態を分析

 WHO(世界保健機関)の統計などを参考にすると、世界には5億2500万頭の犬がいるそうだ。オオカミ(約40万頭)より圧倒的に多い。犬は「人間が暮らす場所」に適合して、「種としての存続に成功」したわけである。
 その犬の性格と感情を、人間は正しく理解しているか、心理学者、愛犬家の立場から分析を試みた。「犬は世界をどんなふうに認識しているか?」などの柱を立て、「犬は本当にうつ病になるか?」といった71の設問をからませて知られざる生態を説く。興味のある指摘が多く、愛犬家ならずとも犬の一挙手一投足が愛らしくなる。犬の嗅覚(きゅうかく)は訓練次第で人間のがん細胞を発見する、初歩的な数の理解は持っている、もし犬にマウンティングされたら「俺の方が上位だぞ」と言われている、犬を飼うと心臓疾患の人には効果があるなど、犬も必死に人間の感情や状態に合わせようとしている。
 学習能力は人間の2、3歳児並みと知って驚かされる。
    ◇
 三木直子訳、築地書館・2376円


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