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川上未映子「きみは赤ちゃん」書評 初めてづくしのなかで気づいたこと

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2014年08月03日
きみは赤ちゃん 著者:川上 未映子 出版社:文藝春秋 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション

ISBN: 9784163900704
発売⽇: 2014/07/09
サイズ: 19cm/294p

きみは赤ちゃん [著]川上未映子

 著者は2012年に初めて出産。その前後の思いをつづったエッセー。35歳でつくろうとがんばるも翌月生理がきてあせったこと、重くのしかかった出生前診断、出産前に必要な買い物をしようとネットをみたが大半が意味不明でどれを選んだらよいかわからずそのままブラウザーを閉じたこと、医師から指示されたエアロビをしていないことをどうごまかしたか、出産時の痛みへの恐怖、そして出産後の赤ん坊の世話で眠れない日々……。初めてづくしのなかで「そうだったのか」とばかりにいろんなことを発見していくのが面白い。夫の「あべちゃん」(作家の阿部和重氏)も頻繁に登場。夫の態度にイラついた時は「あべ」と呼び捨てになるのもおかしい。