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「戦後知識人と民衆観」書評 地域の文化運動のリーダーの姿も

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2014年08月10日
戦後知識人と民衆観 著者:赤澤 史朗 出版社:影書房 ジャンル:歴史・地理・民俗

ISBN: 9784877144470
発売⽇:
サイズ: 21cm/373p

戦後知識人と民衆観 [著]赤澤史朗・北河賢三・黒川みどり

 戦後の「知識人」を、地域の文化運動のリーダーなどを含めて広くとらえ、その知性のあり方を考えた共同研究。桑原武夫、丸山眞男、藤田省三、鶴見俊輔らに加え、ビキニ環礁で被曝(ひばく)した第五福竜丸の乗組員・大石又七や、1950年代に総合雑誌で社会問題の「グラフ・キャンペーン」を続けた写真家・濱谷浩、山陰の農村女性の生活や意識を描いた学者・溝上泰子らを取り上げているのが注目される。「民衆への距離の意識」と「民衆に対する共感」を手がかりにその思想の特徴をつかもう……というわけだが、「民衆」とともに「知識人」という言葉も、誰を指すのか見えにくくなっているのが「戦後69年」の現在か、という思いを強くした。
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影書房・3780円