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「自由」はいかに可能か―社会構想のための哲学 [著]苫野一徳

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)

[掲載]2014年09月14日

[ジャンル]人文

表紙画像

■必要なのは法と教育と福祉

 いま私たちは、自由・平等であることを、ともすると当たり前のように思っている。それゆえ自由を実現するための「責任」の方を強調してみたり、自由を「もてあます」風潮すらある。
 かかる趨勢(すうせい)を踏まえ、著者は「自由の相互承認」などのヘーゲルの哲学に基づき、自由を徹底的に再検討していく。著者がたどり着いた自由の本質とは「諸規定性における選択・決定可能性」への“感度”、というモノ。これだけでは「なんのこっちゃ?」だが、本書を読んでみると、なるほど! とてもよく分かるのだ。さらに著者は、自由を社会に定着させるため「法」と「教育」と「福祉」の必要を説き、その具体的なあり方を提唱する。
 自由は思想の中枢に位置するので、本書はヘーゲルからあのサンデル教授に至る哲学者たちの列伝としても読むことができる。気鋭の著者が、気持ちよく生きることをめざし、自由を存分に語り尽くした痛快な一冊!
    ◇
 NHKブックス・1404円


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