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哀しすぎるぞ、ロッパ―古川緑波日記と消えた昭和 [著]山本一生

[評者]

[掲載]2014年09月21日

[ジャンル]文芸 人文 ノンフィクション・評伝

表紙画像

 競馬文化の本も多い近代史研究家が世に送る古川緑波の評伝。ロッパは榎本健一と並ぶ昭和期の代表的喜劇人で、膨大な日記を残したことでも有名だが、本格的な評伝は本書が初めてという。実父は宮内省侍医で男爵、養家も陸軍中将らが輩出するというアッパーな育ち、わがままな坊ちゃん体質は終生ロッパについてまわった。10代で「キネマ旬報」同人となり評論を書くも、絶妙の声帯模写が買われて演じる立場に転じ、アチャラカ喜劇で軍国色深まる世の人気者に。アチャラカはそもそも舶来の笑い。戦前の遊民文化の爛熟(らんじゅく)が後押しした。戦後、落ち目の喜劇王を病魔が襲う。菊田一夫や小林一三らとの波乱多き交流も読みごたえあり。
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 講談社・2592円


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