書評・最新書評

ポール・リクール [著]ジャン・グロンダン

[評者]

[掲載]2014年10月05日

[ジャンル]人文

表紙画像

 2000年に京都賞を受けた仏人哲学者リクール(1913〜2005)の生涯と思想をたどる入門書だ。著者もこぼすように、広大かつ深甚なその思想は一本の筋に絞りにくい。名門校の教授職を争い負けた相手、M・フーコーが仏人好みのスタイリッシュで現代的な思想家なのに比べると、リクールは超越的でモヤッとしている。「矛盾への偏愛」があり、結論を急がず、対立の周りをらせん状に思索していく。本書が重点を置く初期の思想では「(解釈学は)現代の困窮の表れであると同時に、この困窮の治療法でもある」というあたりが、いかにも「リクール節」。だが、このややこしい循環は人間と生への透徹した洞察から導かれる。
    ◇
 杉村靖彦訳、白水社文庫クセジュ・1296円

関連記事

ページトップへ戻る