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「サル化」する人間社会 [著]山極寿一

[評者]萱野稔人(津田塾大学教授・哲学)

[掲載]2014年10月05日

[ジャンル]社会

表紙画像

■家族は何のため生まれたのか

 私たちは家族という集団が人間の社会に存在することを当たり前のことだと思っている。しかし、人間のように一生涯つづく家族をもつ種は動物全体をみてもほかにない。ならば家族は近代社会が生みだした人工的な制度なのかといえば、そうでもない。家族の起源は初期人類にまで遡(さかのぼ)れる。では、人間の家族はどんな条件のもとで何のために生まれてきたのだろうか。その問いを解くカギはゴリラやチンパンジーなどの類人猿の生態にあると著者はいう。たとえばゴリラのメスは、成長すると生まれ育った群れから離れ、別の群れや単独のオスのもとに移動する。このことと人間社会の結婚とはどのようにつながっているのか。家族や言語など、人間を人間たらしめているものが人類の進化のなかでどのように生まれてきたのか、家族制度が崩壊しつつある現代の変化は人類史的にどのような意味をもつのかを、世界的な霊長類学者がとてもわかりやすく、楽しく解き明かしてくれる。
    ◇
 集英社インターナショナル・1188円

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