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低地 [著] ジュンパ・ラヒリ

[評者]

[掲載]2014年10月12日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 デビュー短編集『停電の夜に』でピュリツァー賞に輝いた女性作家が、『その名にちなんで』以来10年ぶりに発表した長編第2作。インドから米国に移住した男女が時代の波を越えていくという設定はおなじみだが、家族の絆や異国の自由な空気は、今作のヒロインにたやすく癒やしをぬくもりを与えない。
 革命運動に身を投じた夫を射殺され、ガウリは夫の兄スバシュに連れられ米国で新生活を営む。誠実なスバシュに見守られガウリは学者として力をつけていくが、過去の出来事は記憶から薄らぎはしても消えることはない。不器用な登場人物たちが下していく決断が、深い余韻を残す。
    ◇
 小川高義訳、新潮社・2700円

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