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柴崎友香「きょうのできごと、十年後」書評 30代を迎えた彼女たち

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2014年10月26日
きょうのできごと、十年後 著者:柴崎 友香 出版社:河出書房新社 ジャンル:小説・文学

ISBN: 9784309023236
発売⽇: 2014/09/29
サイズ: 20cm/196p

きょうのできごと、十年後 [著]柴崎友香

 著者の芥川賞受賞後第1作は、映画化もされた2000年のデビュー作『きょうのできごと』の続編。友人の引っ越し祝いに集まった大学生らの何げない一日を描いた前作から10年、30代を迎えた彼女たちが京都で開かれたパーティーで再会する。
 かつて恋人だった男女のぎこちない距離感や、昔なら胸がときめいたはずの言葉に思わずこぼれる「そんなに簡単に、夢中になられへんね。もう」。喧噪(けんそう)の夜、穏やかな関西弁で交わされるどこか冷めたやりとりが、それぞれの生きてきた時間や、迷いを抱えて生きる今を浮かび上がらせていく。
 やがて夜は明け、「次の今日」が始まる。彼女たちにいつかまた会いたくなる。
    ◇
 河出書房新社・1512円