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向田邦子、性を問う―『阿修羅のごとく』を読む [著]高橋行徳

[評者]

[掲載]2014年11月02日

[ジャンル]人文 社会

表紙画像

 著者はカフカなどを専門とするドイツ文学者だが、2011年の『向田邦子「冬の運動会」を読む』(鳥影社)では、向田の個性的な生活スタイルに惑わされることなく、作品世界を丹念に読み解き、向田文学の本質を論じた。その優れた向田論の2作目。1979年と80年に放映されたNHKドラマ「阿修羅(あしゅら)のごとく」を俎上(そじょう)にのせる。
 向田は演出家和田勉との打ち合わせで、「セックスを抜きにして、ホームドラマは成り立たないんじゃないのかしら」と提案し、性を生への意欲と広義にとらえる向田流の考え方を柱に、ドラマ作りは始まったという。日本のドラマ史に残る名作を、著者は今回も精緻(せいち)に読み解き、人間の業(ごう)の深さをえぐり出す。
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 いそっぷ社・1836円


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