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西アフリカの王国を掘る—文化人類学から考古学へ [著]竹沢尚一郎

[評者]三浦しをん(作家)

[掲載]2014年11月16日

[ジャンル]社会

表紙画像

■研究者たちの魅力、生き生きと

 西アフリカ、マリのサバンナ地帯で、紀元前のものも含む、さまざまな年代の遺跡を発掘した記録。
 近年、トゥアレグ人の独立運動が起きるなどして、情勢が不安定だが、ニジェール川の恵みのもと、古代から文化が発達し、ひとの交流や交易が盛んな地域だった。遺跡からは、うつくしい模様の土器、ガラスのビーズや黄金などがざくざく出土する。
 発掘隊メンバーである現地の人々も、個性的で楽しい。なぜかゴミ捨て場ばかりを掘り当てるシセ君、作業中なのにダンスをはじめるカラポさんとボンカナさんなど、愉快で自由奔放な魅力が生き生きと紹介される。発掘現場や人々の様子がわかる写真も、モノクロだが多数掲載。
 著者は、アフリカから世界史をとらえなおす必要がある、と言うが、もっともだと納得できる内容だ。発掘を通し、アフリカの過去の姿を解き明かそうとする研究者の、静かだが熱い思いに満ちた一冊。考古学門外漢でも楽しめる。
    ◇
 臨川書店・2160円

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