「国境政策のパラドクス」書評 「移動」と「自由」は同義ではない
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2014年11月30日
国境政策のパラドクス
著者:森 千香子
出版社:勁草書房
ジャンル:社会・時事・政治・行政
ISBN: 9784326602698
発売⽇: 2014/09/30
サイズ: 22cm/244,15p
国境政策のパラドクス [編]森千香子、エレン・ルバイ
1965年には年間7500万人だった移民は現在2億人を超えるといわれる。世界を飛び回るビジネスマンは好意的に評価されるが、「移動せざるを得ない」移民や難民は摘発の対象ともなる。日本でもビジネスマンや観光客を対象として、国境管理を緩和するような政策が行われる一方、非正規滞在者の摘発が強化されている。国家がどのように人の移動を決定しているのか。内外の研究者によるシンポジウムをもとにした論文集。
「移動」と「自由」は同義とみなされてきたが、今日の「移動」は監視下で行われるので、必ずしも「自由」を表すものではない、と著者の一人はいう。
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勁草書房・4320円