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コンとアンジ [著]井鯉こま

[評者]

[掲載]2014年12月07日

表紙画像

 たたみかける短文の語りが生む独特のリズムがいい。雑然とした街の雰囲気やじわりと汗ばむような熱気が伝わってくる。
 異国の安宿で洗濯女にだまされて無一文となった18歳の日本人娘「コン」。外国人居留区にある怪しい貿易会社で、ブータン出身の14歳の「小僧」と身分を偽って働くことに。そこで出会った長身でなめらかな肌の持ち主の先輩「アンジ」に恋をし、やがて妊娠して……。
 国境や言語だけでなく性や善悪の境界までをも軽々と跳び越えて、大きな運命に流されるように、謎は謎のまま、物語はぐいぐい進む。たくましく生きる登場人物たちの姿がまぶしい。第30回太宰治賞受賞作。ほか1編を収録。
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筑摩書房・1404円

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