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死に支度 [著]瀬戸内寂聴

[評者]

[掲載]2014年12月07日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 91歳にもなるのに、作家は夜も眠らず年中仕事に追われている。手助けの女性たちが見かねて、自分たちを解雇し仕事を減らすよう「春の革命」を勧め、寂庵では20代のモナとアカリ、91歳のセンセが日々を送ることになる。年齢差を感じさせない生き生きとした女子会話も楽しいが、作家は、両親、姉に始まり次々に見送ってきた人生の先達、同輩、後輩たちに思いを巡らし、自分については「今夜、死んでも悔(くや)むことは一切ない」。92歳までの一年間、のみならず、それまでの全てが嵐のような日々だった。そして「死に支度」なんて「小説の中でも、実生活でもやめよう」と決める。不思議な、奇跡のような楽観が漂い、読者を救うのだ。
    ◇
講談社・1512円

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