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君は山口高志を見たか―伝説の剛速球投手 [著]鎮勝也

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)

[掲載]2014年12月07日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

■太く短いプロ生活に悔いなし

 山口高志。約170センチの(野球選手としては)小柄なからだをぎりぎりまで大きく使って、最も速いスピードボールを投げた男。ぼくが記憶している彼のタマは打者のヘソのあたりからググッとホップした。打者のバットはタマの下側を振って空を切った。
 山口は関西大学から社会人野球に身を投じ、二年後に鳴り物入りで阪急ブレーブスに入団。直ちに先発に、救援に、大車輪の活躍を見せた。4年連続リーグ制覇、うち3度の日本一に貢献。でも実質4年、たった4年で燃え尽きた。引退後は長く投手コーチを務め、藤川球児らを育てた。
 本書は山口の球歴を克明に、だが淡々と描く。そして山口自身に「太く短いプロ生活に悔いはない」と語らせる。だが、なんともったいない! アメリカでは、投手の分業制が既に確立していた。なぜそれに学ばなかったか。もしも山口がクローザーとして、大事に使われていたら、どれ程(ほど)のことをしていたか。それを思うと、悔しくてならない。
     ◇
 講談社・1620円


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