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最貧困女子 [著]鈴木大介

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)

[掲載]2014年12月21日

[ジャンル]社会

表紙画像

■貧困層からもこぼれ落ちる

 今年は報道番組や評論などで女性の貧困問題が注目を浴びた。「プア充」と呼ばれる、低収入でも楽しく暮らす若者も耳目を引いている。だが本書は、これら貧困論からも零(こぼ)れ落ちる最下層の女性たちの生活実態に迫る力作である。
 風俗業の面接も容姿で落とされ、フリーの売春で二児を養うシングルマザー。知的障害を抱えながら路上売春で食べている女性、実母に売春を勧められた経験をもち17歳で子どもを産んだ風俗嬢……。皮肉にも、身体を売ることができるという事実が、彼女たちの貧困を不可視化している。彼女たちは、低所得に加え「家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁」、さらに「精神障害・発達障害・知的障害」により、貧困層からも排斥される。自己責任論が前提とする「自己」がすでに壊されている、との言葉はあまりにも重い。それゆえ、就業でも恋愛でもつまずきやすい。実態にあわせ、福祉制度の網の目を、細かく柔軟に再編すべきだ。一刻も早く。
    ◇
 幻冬舎新書・842円

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