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なぜ生物時計は、あなたの生き方まで操っているのか? [著]ティル・レネベルク

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)

[掲載]2015年02月01日

[ジャンル]科学・生物

表紙画像

■夜型人間が自信を取り戻せる本

 ぼくは、かなり夜型の人間だ。仕事などの制約がなければ、4時頃寝て11時頃起きるのが、いちばん快調である。
 夜型人間はぐーたらで、朝型はまじめな働き者というのが、一般のイメージのようだ。だが、そうではないのだと、本書の著者、睡眠研究の世界的権威、レネベルク博士は断言する。夜型なのはその人の持って生まれた遺伝的性質だ、怠け者ではないのだ、と。むしろ、現代の生活リズムが過剰に朝型に偏重しているとまでおっしゃってくださる。夜型人間がこんなに自信を取り戻せる本は、他にない。
 朝型か夜型かは、生物学的な要因によって決まっている。具体的には、遺伝的要因と日光だ。ドイツでの膨大なデータをもとに、人々の生物時計が日の出・日の入りによって決定されていることを示す第17章は、圧巻だ。
 遺伝的に決まっている人間の生物時計は、ぴったり24時間の周期ではない。むしろ多少の「ゆとり」をもって、ざっくりとリズムを決めておき、細かいところはその土地の日の出・日の入りのパターンに合わせるという仕組みになっているようだ。
 日の光に当たることは、それだけ、人の生物時計を決めるのに大きな役割を果たしている。したがって、現代の産業社会で、とくに都市生活者の多くが日中の大半を屋内で過ごしていることが生物時計のリズムを乱し、ひいては体調不良をもたらしている原因だと著者は言う。屋内照明は日光の200分の1以下の強度しかない。つまり現代に生きるぼくたちは、日周リズムを整える環境からの刺激(日光)を、ほとんど受けないで暮らしていることになるのだ。
 時差ボケや不眠に苦しむ人にとっては目からウロコの連続である。そして、あなたが夜型であれば自信と誇りを取り戻すために、あなたが朝型であれば夜型人間への理解と共感をもってもらうために、是非(ぜひ)ともお読みいただきたい。
    ◇
 渡会圭子訳、インターシフト・2376円/Till Roenneberg 独ミュンヘン大学医療心理学研究所教授。

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