追跡・沖縄の枯れ葉剤-埋もれた戦争犯罪を掘り起こす [著]ジョン・ミッチェル

[評者]三浦しをん(作家)  [掲載]2015年02月01日   [ジャンル]政治 社会 

表紙画像 著者:ジョン・ミッチェル、阿部 小涼  出版社:高文研

■綿密な調査に基づく告発

 枯れ葉剤が入っているとみられるドラム缶が、腐食した状態で、2013年に沖縄市のサッカー場から大量に発掘された。ベトナム戦争で米軍が使用した枯れ葉剤は、基地のある沖縄にも運びこまれていたらしい。
 著者はアメリカ政府に情報公開を求め、この問題を徹底的に追及する。基地で勤務していた米兵のなかには、いまも枯れ葉剤による甚大な健康被害に苦しむひとが大勢いる。ベトナム戦争当時、基地関連の仕事をしていた沖縄の人々に至っては、被害の実態把握は行われていないままだ。また、県内の米軍訓練場で枯れ葉剤が使用された形跡があるのだが、環境への影響も調査されていない。
 これは、綿密な調査に基づく告発の書だ。日米両政府は、事態を直視すべきだろう。戦争は敵味方関係なく、多くのひとを長年にわたって苦しめつづける。沖縄の基地問題や戦争の非道さを、「対岸の火事」ではなく「自分のこと」として考えるためにも、必読だ。 
    ◇
 阿部小涼訳、高文研・1944円


この記事に関する関連書籍

追跡・沖縄の枯れ葉剤

著者:ジョン・ミッチェル、阿部 小涼/ 出版社:高文研/ 発売時期: 2014年10月


三浦しをん(作家)の他の書評を見る

この記事に関する関連記事

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る

ブック・アサヒ・コム サイトマップ