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わが父塚本邦雄 [著]塚本せい史

[評者]

[掲載]2015年02月08日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 塚本邦雄は生前、自身の短歌を私事との関連で解釈されるのを嫌い、経歴など個人情報をあまり明らかにしなかった。著者は偉大な文学者の、父親としての日常を伝えることで、神話化にくみせず、露悪に陥ることもなく、最も身近にいた者ならではの塚本邦雄像を描き出す。台所仕事をすればすぐに食器を割る、装丁や工作など手先は器用なのに金づちで釘を打てないなど生活技術面、あるいは家に遊びにきた寺山修司はじめ文学者たちとの付き合い、東西往復しての盛んな仕事ぶり……。晩年、次第に認知が衰えて著者とは漫才のような掛け合いになりながら創作、添削、選歌をこなした。文学的評伝とは異なるが、塚本邦雄の面目を伝える一書。
    ◇
白水社・2808円

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