書評・最新書評

「進撃の巨人」と解剖学—その筋肉はいかに描かれたか [著]布施英利

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)

[掲載]2015年02月08日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

■人気コミックの深遠な謎に迫る

 日本中で、いまもっとも多くの人々が「謎とき」に悩み、かつ楽しんでいるコミック『進撃の巨人』(単行本累計発行部数4千2百万部)。この深遠で魅惑的な謎に、「美術解剖学」を武器として敢然と立ち向かうのが本書である。
 美術解剖学とは、人体の解剖学的な構造を美術制作や美術批評に用いるための、科学と美術を融合する知識体系であり、ダビンチや森鴎外とも深い関わりをもつ。
 「からだ」を解剖学的に認識することでその構造や美しさを正確に把握しようとするために、「からだ」の形状に直接的な影響を与える骨格と筋肉を凝視する。この視座をもって巨人を解剖すると、巨人は(1)「人間型」、(2)「通常種」、(3)「奇行種」に分類できる。さらに各々(おのおの)の特徴を解析すると、その成果は巨人出現の秘密の近傍にまでたどりつく。
 著者の振るうメスは鋭利であり、説得的。『進撃の巨人』の副読本としてだけでなく、「からだ」の美しさを知るために、おすすめの一冊である。
    ◇
 講談社ブルーバックス・972円

関連記事

ページトップへ戻る