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石の物語―中国の石伝説と『紅楼夢』『水滸伝』『西遊記』を読む [著]ジン・ワン

[評者]

[掲載]2015年02月15日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 中国明・清代を代表する三つの長編小説には冒頭の記述に不思議な共通点がある。『水滸伝』では石板の下に閉じこめられていた悪霊が解き放たれる。『西遊記』では石の卵が孫悟空になる。『紅楼夢』でも天界で捨てられた石が人間界に下る。すべては石から始まる。『紅楼夢』には石頭記、つまり石の物語という別名さえある。
 米マサチューセッツ工科大学で中国メディア文化研究を担当する著者は、この奇妙な石の物語の系譜に着目して、中国における石の伝承を渉猟し、三つの物語を読み解く。他のテキストから完全に自由なテキストは存在しないとするテキスト相関性を踏まえた研究書だが、想像力を刺激される。
    ◇
 広瀬玲子訳、法政大学出版局・5184円

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