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辺境のフォークロア―ポスト・コロニアル時代の自然の思考 [著]金子遊

[評者]

[掲載]2015年02月15日

[ジャンル]人文

表紙画像

 本書がとらえる「異なる言語や文化が接触する辺境」とは戦前の日本の委任統治領などを指す。その範囲はサハリン島からアイヌの北海道、家の神オシラ様の東北、奄美、琉球弧、小笠原から「南洋」群島までと広い。当時の「文明国」日本の学者や芸術家は、辺境に暮らす多彩な異民族をどう認識していたのか。著者は1974年生まれの映像作家・民族誌家で、ソクーロフやネフスキー、鈴木経勲や松岡静雄、北原白秋や土方久功らの作品や文献から彼らの足跡をたどり、辺境の思想を論考する。「未開」「異国」への偏見を排した現代的まなざしと共感を通して、柳田国男を意識した「ポスト民俗学的」領野を切り開こうとの意志が伝わる。
    ◇
 河出書房新社・2700円

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