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占領空間のなかの文学—痕跡・寓意・差異 [著]日高昭二

[評者]

[掲載]2015年03月01日

[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

表紙画像

 1945年8月の敗戦から52年4月の講和条約の発効までの7年近く、日本は連合国軍の占領下にあった。その時期に書かれた小説には、占領の実態に直接触れていなくても、絵画の地の色のように占領空間があらかじめ封じ込められている。釈放された政治犯の映像に始まる宮本百合子「風知草」を皮切りに、中野重治や太宰治ら多くの作家を取りあげ、作品に交差する「占領」を追跡する第1章では、連合国軍の禁止コードをパロディーで無力化する太宰の戦略など興味深い。
 戦後70年、「占領」が文学に残した痕跡は、現代の日本にも依然として、位相を少し変えて刻まれ続けているのではないかとも思える。
    ◇
岩波現代全書・2592円

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