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みんなバーに帰る [著]パトリック・デウィット

[評者]

[掲載]2015年03月01日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 アイリッシュ・ウイスキー、テキーラ、ラム、ウォッカ……。作中立ちこめる酒のにおいに酔いが回りそうになる。
 舞台はハリウッドの場末のバー。「生きてても不愉快なことばかりだし、せめて最高の酒を飲まなきゃ」と言う店長の頬は、コカインを乱用した影響でたるみはじめている。アルコールや薬物への依存に身を落としていくバーテンダー補助スタッフの主人公を軸に、似たような問題を抱える常連客たちの醜態ともいえる姿を描く。
 語り手が主人公を「君」と呼ぶ二人称小説。夜ごと店内で起こる酒乱やらんちき騒ぎの冷静な描写が、深刻さや感傷を排し、人間の“ダメさ”や滑稽さを際立たせる。
    ◇
茂木健訳、東京創元社・1836円

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