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友川カズキ独白録—生きてるって言ってみろ [著]友川カズキ

[評者]

[掲載]2015年03月08日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 著者は中学2年で中原中也の詩「骨」と出会い、衝撃と恍惚(こうこつ)に頭が真っ白になる。「もうあとには戻れない」。以来40年、ことばを思い、曲を作り、歌い、絵を描いた。ギャンブルにのめり込み、酒をあおった。自らのなりわいを「虚業」と称して感じ入り、世間が愚行とあざけることに溺れる「どこに出しても恥ずかしい人」たちを愛す。とりわけ、早世した俳優たこ八郎、自殺した弟を描いた章は、恥じらいを秘めた語りの裏に熱い情感が透けて、美しい。
 ビッグデータがものをいう現代。そこを己の詩情一本でまかり通る著者の異形ぶりは痛快だ。ただ、人生を語りながら、詩と情の核となるはずの色恋の話に乏しいのは、なぜなのだろう。
    ◇
白水社・2052円

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