書評・最新書評

土俵の周辺 [著]岩崎友太郎

[評者]

[掲載]2015年03月15日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 春場所たけなわ。日の当たる主役ではないが、相撲に深くかかわる人々を描いた。二十七代木村庄之助にみる行司の勝負勘。力士の動きに追われていては失格で、「自分で力士を追っていってこそ、決断力がつく」という。引退してちゃんこ屋を成功させた力士、大けがから復帰した力士など、人生の分かれ道をどう歩んだかもたどる。
 印象深いのは、魁皇の引退相撲の際、国技館で相撲甚句を歌った大納川(だいながわ)憲治だ。32年前に廃業した元力士の登場は異例だが、その伝説的なうまさがゆえの依頼だった。「いつの日か、相撲甚句がお前の生活を支える日がくるかもしれないからな」と親方に勧められた若き日。そして、土俵を去った後の日々がかけめぐる。
    ◇
 白水社・2592円



関連記事

ページトップへ戻る