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玉砕の島々―サイパン・グアム・ペリリュー・硫黄島 [著]平塚柾緒

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)

[掲載]2015年03月15日

[ジャンル]歴史

表紙画像

■歪んだ戦いの内実を誠実に記述

 3年8カ月余続いた太平洋戦争で、特攻作戦や玉砕は軍事的責任が問われる戦術である。玉砕は最後の一人まで戦うとの戦闘行為だが、1943年5月のアッツ島玉砕を始まりとして、日本軍はなんどかこの戦術を採用した。
 本書はその玉砕の内実を誠実に記述しているが、要は全滅という「負のイメージを払拭(ふっしょく)して、雄々しく散っていった勇士の姿を浮かび上がらせ、(略)軍首脳にとってはまことに都合のよい言葉」と断定する。国民もまた玉砕報道に陶酔したという。著者は長年、玉砕地の取材と少数の生存者を訪ね歩き、その最後を確かめてきた。本書はそれらの集大成でもある。
 タラワ、マキンの劣勢下での絶望的な戦い、サイパン、テニアン、グアムなど民間人を含めての玉砕、敗戦を知らずに戦い続けるペリリュー島の兵士たち、そして硫黄島、沖縄の戦いの真実、「捕虜よりは死を」という日本軍の歪(ひず)んだ戦いはこの国の公理に反するとの思いがする。
    ◇
 洋泉社・1836円



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