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環りの海—竹島と尖閣—国境地域からの問い [著]琉球新報、山陰中央新報

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)

[掲載]2015年04月19日

[ジャンル]社会

表紙画像

■暮らす人々の目に映るもの

 立つ位置しだいで視点が変わる。暮らす場所によって、風景は変わる。国境の海は地図の上では線が引かれているが、そこで暮らす人の目に映るのは生活をはぐくみ、ゆさぶる波である。
 この本は、日本と中国や韓国との間で対立がつづく尖閣諸島や竹島問題の「地元」、琉球新報(沖縄県)と山陰中央新報(島根県)の両紙がともに企画した連載に加筆し、出版したものだ。
 隣国と領土をめぐる紛争や衝突が起きれば、真っ先に被害を受ける当事者としての目線を貫く。漁業者ら地域の人々を取材し、さらに、対岸からのまなざしを知ろうと、中国、台湾、韓国にも出向く。
 歴史的な背景や東南アジア、欧州での紛争解決に向けた取り組みも検証しながら、国どうしの対立やナショナリズムを超えて自らができる一歩を探る。空間を共有する隣人に向き合う姿は、すべての日本人への問いかけである。
 もとになった連載は、2013年度の新聞協会賞を受賞。
    ◇
 岩波書店・1944円

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