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電車道 [著]磯崎憲一郎

[評者]

[掲載]2015年05月10日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 家を出て洞窟に住みついた男がいた。養蚕農家の村。子どもたちに慕われ、男は塾を開き、学校ができる。選挙に敗れた男がいた。資本をかき集めて電鉄会社を設立。田畑を宅地に変えていく。
 タイトルの通り、鉄道開発の歴史を伴走者にして、近代から現代へと流れる日本の100年の時を描いた長編小説だ。産業が興り、インフラが整備される。大地震、大恐慌、病気、戦争。躍進と災厄の中、鉄道のレールは延びていく。
 「すべての人間はいつかは死すべき運命にある」。親たちは死ぬ。だが、子は恋をして親となる。苦悩する。歴史も人生も繰り返し続いていく。そのうねりが小説になった。
 新潮社、1728円

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