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原子・原子核・原子力―わたしが講義で伝えたかったこと [著]山本義隆

[評者]

[掲載]2015年05月24日

[ジャンル]歴史 科学・生物 医学・福祉

表紙画像

 著名な科学史家が、X線やウラン線の発見、核物理学のはじまり、核分裂と連鎖反応の発見といった歴史的背景を研究者の人物像を交えながら紹介し、放射性元素の崩壊、放射線エネルギーが人体に及ぼす影響などについて数式や図表も用いつつ丁寧に解き明かす。「原爆と原発」と題された最終章では、米国のマンハッタン計画と副産物の原子炉、使用済み核燃料問題や環境汚染、福島原発事故と被災者・作業員の内部被曝(ひばく)の危険性に言及。「浴びる放射線がこれより少なければ安全であるという意味の『閾値(しきいち)』は存在しない」「原発依存は、のちのちの世代の人たちへの背信」との言葉が、原子力災害を警告した故高木仁三郎氏らの姿勢に連なる。
    ◇
 岩波書店・2376円


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