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写真のボーダーランド―X線・心霊写真・念写 [著] 浜野志保

[評者]大竹昭子(作家)

[掲載]2015年05月24日

[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能 科学・生物

表紙画像

■心霊写真から探る写真の本質

 目には見えないものを撮ったX線・心霊写真・念写の歴史を繙(ひもと)きながら、写真とは何かを問う。写真はそこに在るものが写る、だから写真に写っていれば存在することになる、というわけで写真は肉眼で見えないものの存在証明になった。解(わか)りやすい例は体内を写しだすX線写真だが、読者の関心を引くのは心霊写真や念写のほうだろう。これらは人の手が入っているにもかかわらず、そうとは見なされずに一つの神秘として時代を越えて人々を魅惑してきた。写真とは何かとは、つまるところ人間とは何かなのだ。
 写真が超常現象と相性がいいのは、自然現象を応用した仕掛けだからで、人の「手」を超えているがために心を操作されやすい。この点がもう少し強調されてもよかったが、ルイス・キャロルが念写の本をだしていることや、少女たちが自作した妖精の写真を、かのコナン・ドイルが信じてしまった話など、英文学専攻から写真に越境した著者らしい指摘はおもしろい。
    ◇
 青弓社・2592円


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