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夏の沈黙[著] ルネ・ナイト

[評者]

[掲載]2015年06月14日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 この本を帰りの電車で読み始めたら、降車駅を知らせる車内アナウンスがいまいましく感じられるかもしれない。そのくせ一刻も早く帰り着き、家族の無事を確認せずにはいられない。そんな、身近な家庭が追い詰められ崩壊していくミステリーだ。
 秘密にしておきたいある夏の出来事。それが何者かの手によって、20年の沈黙を破り、静かに動き出す。出来事の断片は寄せ集められ、一つの物語に仕立て上げられる。決して気持ちがいいとは言えないその物語は、最も知られたくない最愛の家族の元に本という形で届けられる。
 最後まで沈黙を貫いたのは誰なのか? ラストにやるせなさと希望の光が押し寄せる。
    ◇
 古賀弥生訳、東京創元社・1836円

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