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一流の人は本気で怒る [著]小宮一慶

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)

[掲載]2015年06月21日

[ジャンル]社会

表紙画像

■自己を磨き、正しく、思いっきり

 喜怒哀楽とくくるけれど、「怒り」はちょっと別物に思える。その場だけでは完結せず、必ずあとから後悔の念が襲ってくるからだ。あんなに怒鳴(どな)らなければ良かった、とか。自分の器の小ささが怨(うら)めしい、とか。つきあいが台無しになり、二度と仕事が来なくなることも(悲しい体験談)。
 そこでお勧めしたいのが、闇雲に当たり散らすのではなく、「正しく」「本気で」怒れ、と説くこの一冊。松下幸之助やジョブズら達人の事例を引きながら、望ましい仕事のしかたと人間関係の作り方、あらまほしき怒り方を懇切丁寧に教えてくれる。
 正しく怒るには真っ当な考え方が必要であって、それには古典を読んで自己を磨くのがもっとも有効である、か。うーん、なるほど。著者の力強いことばはシンプルでありながら、心地よく腹に落ちる。読後感は実に爽やか。
 ちなみに一流の人だから正しく本気で怒るのであって、本気で怒っている人が一流とは限らない。ご用心、ご用心。
    ◇
 文春新書・778円

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