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日本農業は世界に勝てる [著]山下一仁

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)

[掲載]2015年07月05日

[ジャンル]経済 科学・生物

表紙画像

■農政転換へ、チャンス掴めるか

 「日本の農業は競争力がない、だから保護が必要」という論理は、私たちにとって半ば常識と化している。ところが著者は、日本の農業には高い競争力を発揮する条件が、潜在的に備わっていることを説得的に示す。
 確かに日本の農家一戸当たりの農地面積は国際的にみて小さく、競争優位はない。だが、土地の肥沃(ひよく)度、豊かな水資源、年二回の作付けが可能な気候、そして土壌流出を防ぐ自然環境は、世界でも有数の好条件だという。これに、日本の優れた製造業やサービス業の先端技術やノウハウを組み合わせ、年間を通じた作業平準化や効率化を達成できれば、十分国際的に戦える。
 グローバル化は脅威でもあり、チャンスでもある。新興国の所得上昇にともなって質の高い日本の農産物への需要はむしろ増えている。この機会を掴(つか)む農政に転換するのか、それともこのまま保護を続けて、国内市場の縮小とともに衰退を甘受するのか。著者の答えはもちろん、前者である。
    ◇
 日本経済新聞出版社・2160円

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