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忘れられた詩人の伝記―父・大木惇夫の軌跡 [著]宮田毬栄

[評者]

[掲載]2015年07月12日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 戦争に協力する詩を書いたとして、後に非難された詩人・大木惇夫。その生涯をエッセイストの次女が掘り起こした。
 戦いが嫌いで、軍一という本名すら嫌った叙情詩人が、なぜ戦争詩を書いたのか。
 著者は、その問いに答えを見つけようとする。国粋的な詩集の刊行は自身の詩全集の刊行を望んで出版社の取引に応じたのかもしれない。出征するにあたって「祖国のため」という納得が必要だったのでは。「愛国心という火種」を前に「詩人としての魂の発火を抑えられなかった」のではないか、と。大木自身は、弁明も説明もせず、沈黙を守った。ただ、もう「いかなる戦争をも受け容(い)れようとしなかった」という。
    ◇
中央公論新社・4968円



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